ここからはネタバレ
僕は「物語が始まる前から全ての選択は終わっていた」…と思いました。東京に危機が迫っていても、これから世界に混沌が訪れても、結果的に友達や身内が死亡することになったとしても、おんたんと門出はお互いに絶対的な存在であり、どちらかが欠ける結末はあり得ない。意識的にしても無意識的にしても、大災厄に対して自分からは何もせずにお互いの無事だけを優先するようなラストはとても二人らしい結論だと思いました。かなりエゴイスティックな作品ではありますが、カタルシスや爽快感はなくとも納得感はかなりあるんですよね。思春期のジュブナイルに巻き込まれた世界が甚大な被害を被る…という作りはちょっと天気の子っぽいかもなとも思ったり。これ、原作がどう終わったのかちょっと気になるなあ。
関心領域と対戦
俺は…何を目撃したんだ?アウシュビッツ収容所の隣で平穏に暮らす家族の様相を描く本作。直接的に虐殺を描くことは一切なく、音から、カメラワークから、様々なところから匂わせてくる…という作風。特にカメラワークに関して、本作はほぼ全てのシーンで定点撮りされており、そのカメラの外側である現実を逆に強調させる作りはおもしろかったです。とはいえ作品を通して伝えたいことが遠回し過ぎて咀嚼しづらいし、ストーリーにわかりやすく面白いポイントがあるということもないのでかなり人を選ぶ映画になっていると思います。僕個人の感想としては、「わからなかった」が一番近いと思います。これは…面白かったのか?評価の難しい作品でした。